【北九州市・第一交通産業株式会社を視察】
「公共交通をもっと便利にできないだろうか。」
そんな思いを持って、北九州市の第一交通産業株式会社を視察させていただきました。
公共交通は、通勤や通学だけではなく、高齢者の通院や買い物、子どもの送り迎えなど、暮らしを支える大切なインフラです。
今回の視察では、実際に取り組んでいる現場へ行き、猪名川町でも活かせるヒントをたくさん学ぶことができました。
【地域と一緒につくる「おでかけ交通」】
最初は、枝光地区で運行されている「おでかけ交通」です。
実際に乗車しながら、運営方法や地域との関わりについて説明を受けました。
印象に残ったことは、地域住民との信頼関係を大切にしながら運営されている点です。
利用者の声を丁寧に聞き、「地域に必要な交通」を一緒につくっていました。
便利な仕組みだけでは続きません。
地域とのコミュニケーションがあってこそ、長く利用される交通になることを実感しました。
乗り降りしやすく、目的地まで柔軟に対応できるため、足腰が不自由な方や高齢者にとって、とても心強い交通手段になると思います。
【次世代型タクシー営業所で見えた未来】
続いて、次世代型タクシー営業所を見学しました。
最新設備を見るだけでなく、その導入効果についても詳しく説明していただきました。
説明では、タクシーにはEVが適しているということでした。また、ガソリンスタンドなどが近隣でない地域には特に有効だということです。
それは、LPガススタンドがない猪名川町にとっても当てはまることだと思います。
これからはEV車両が当たり前になっていく未来も感じることができました。
とはいえ、まだ導入し始めたところだということで、車両を一気にEVに切り替えるのではなく、バランスを考えて改革を進めていました。
【リモート管理センターが支える安心】
運行状況を遠隔で管理するセンターも見学しました。
これまでは、点呼は対面でする必要がありましたが、制度が変わり遠隔でも可能になったことで、実現した取り組みです。
人件費の削減やこれまで対応できなかった時間帯をカバーするといった、素晴らしいシステムでしたが、「どこでもすぐに導入できるものではない」ということ。
なぜなら、システムとしては導入は可能だが、地域ごとに特性が異なるため、最適な運用方法も異なる。それを理解して運用することが大切だと考えているからだということです。
制度が変わることで、運営の仕組みそのものが大きく変わることも改めて実感しました。
猪名川町でも夜間の移動に困るという声もあります。
すぐに実現することは難しいですが、夜間交通のあり方についても、今後研究していきたいと考えています。
【No.1タクシーネットワーク】
最後に、「No.1タクシーネットワーク」の説明を受けました。
地域のタクシー会社がネットワークを組み、それぞれの強みを活かしてサービスを提供する仕組みです。
利用者の利便性向上だけでなく、事業者の経営基盤の強化にもつながる仕組みだと感じました。
地域交通を維持していくためには、事業者同士が競い合うだけでなく、必要に応じて連携するという発想も、これからますます重要になると感じました。
猪名川町のタクシー事業者にとっても、大きな可能性がある取り組みではないでしょうか。
【地域に寄り添う経営が印象的だった】
今回の視察で最も印象に残ったのは、「大きく変える」のではなく、「地域や時代に合わせて少しずつ変えていく」という姿勢でした。
派手な改革ではありません。
しかし、利用者や地域に寄り添いながら積み重ねる改革こそ、長く地域交通を支える力になるのだと感じました。
また、おでかけ交通のようなコミュニティ交通は、行政による補助金があって初めて維持できることも改めて実感しました。
公共交通は利益だけでは測れません。
町民の皆さんの「移動する権利」を守るために必要な社会基盤であることを、改めて考えさせられる視察となりました。
一歩ずつ前へ
公共交通は、一足飛びには変えられません。
だからこそ、先進事例を学び、町に合った形で少しずつ改善を重ねていくことが大切です。
今回学んだことを猪名川町の公共交通の充実につなげられるよう、町民の皆さんの声を大切にしながら、行政や交通事業者とともに取り組んでまいります。
「移動できる安心」が、いつまでも続く町を目指して。